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いつもありがとうを感じていたいから。

 筆記具メーカーの老舗、パイロット社のDMに書かれているコピーにはいつも、心が踊る。

「そう、ペンは心と心をつなぐ、温もりのある道具なのですね」。

 今回、心に残った一文だ。

 どうやら手紙好きらしいと知ったので、以来、海外出張の折には必ずハガキやカードを送る仲良しがいる。万年筆を始め、鉛筆、消しゴム、インク、ノート…と、私は無二の文具好きだが近頃、出張前の準備に「ペンを選ぶ」という工程が一つ、追加された。季節、行き先、送る相手の好みの色などを思いながら、心にしっくりくる一本を連れて行く。そして出張先では、カード選び。出張先として最も頻度の高いNYでは、MOMA(近代美術館)のギフトショップやお気に入りの文具店に出向くことが多い。私が大好きな場所のことを、今いるこの場の雰囲気を少しでも伝えられたらと、そして相手の好みに想いを巡らせながら、やはり心にピンとくる一枚を選ぶ。ささやかなことだけれど、とても楽しいプロセスだ。

 そして、言葉を認める。東京で夜な夜な話しているのに、なんならさっきまで電話で話していたくらいなのに、ペンを持つとまた気持ちが変わる。今この瞬間に感じていること、気づいたこと、東京に帰ったらやりたいことなどなど、電話やLINEでは伝えないような言葉がスラスラ並ぶのも我ながら不思議な感覚だ。

 とても素敵だなと感じるのが、手紙を書く方が相手の存在を大きく強く感じることだ。これは電話やLINEにはない感覚だ。そして改めて感じるのだ。「いてくれてありがとう」と。

 最後に投函。ほぼ弾丸出張なので、手紙が着くより先に帰国し、送った相手とも手紙が着く前に会ってしまうケースの方が多いのだけれど、手紙が届くまで、なんとなく相手に対して小さな素敵な秘密を持っているようで、心の中に流れるさわさわとした、ワクワクドキドキもまた、乙なのである。

 大いなる手紙の魅力。大事な人たちにいつもありがとうを感じていたいから、私はペンを持ち続けよう。