CSR
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episode 5

麦芽の搾りかすが、牛を育てる。

ホッピーを作るときには、たくさんの麦芽を使います。ホッピーを作った後、その大量の麦芽は搾りかすとして廃棄物になります。でも、その麦芽搾りかすはまだまださまざまな栄養素を持っています。ただ捨てるのはとてももったいないことです。そこで、麦芽搾りかすは専門の会社に運んで家畜の飼料として利用してもらっています。麦芽搾りかすを再資源化し、牛たちの飼料にする。その取り組みをご紹介します。

ホッピーの麦芽搾りかすは、群馬県前橋市にあるリプロ株式会社に運ばれ、ここで乳牛の飼料になります。リプロには、例えばオカラのような人が食べない食品残渣や、出荷できない野菜なども集まってきます。これらと干草や穀類などを混ぜ合わせ、麦芽の搾りかすも加えます。混ぜ合わせたものは大きなロールにして、全体をラップし、ひと月ほど発酵させ、さらにその後2ヶ月熟成させ、乳牛の発酵飼料となります。

干草や他の材料の中に、麦芽搾りかすは約12%弱の割合で配合されます。これがちょうどいい割合なのだそうです。ホッピーの麦芽搾りかすは、特に蛋白が高く一定の栄養価を持っていることの他に、焙煎してあることも牛にとってはいい効果があります。人間でも燻したものには食欲がそそられますが、牛たちも嗜好性が上がり、餌をよく食べるようになるのです。

この飼料を食べている井上牧場の牛たちは、全国でもトップクラスの搾乳量を誇ります。通常は乳牛1頭の一日当たりの搾乳量は30kg弱ですが、ここでは40kgと30%以上多いのです。牛舎にある独特の匂いが、この牧場ではありません。それほど徹底した牛舎の環境保全もありますが、優れた飼料もまたこのような結果を生み出しています。


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麦芽の搾りかすが、牛を育てる。