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episode 14

そして、地球はCO2を吸収しきれなくなる。

わたしたちの体や動物や魚の中には、炭素が含まれています。森の木にも、海にも炭素があります。炭素は、二酸化炭素という気体だったり、有機物だったり、原油のように液状だったり、さまざまな形に変化しながら地球の中で循環しています。これを炭素循環といいます。

炭素循環は、大きく捉えると、海や森と大気との間を炭素がぐるぐると回っているイメージです。産業革命以前には、この炭素循環が何千年も何万年もとてもうまくいっていました。大気中の二酸化炭素は、生物が排出しても、海に溶けたり森の木が吸って、常に一定量を保つことができたのです。しかし、産業革命以後、人々は石炭を掘り起こしてこれを燃やし、大気中の二酸化炭素を劇的に増やしていきました。石炭の次には石油です。これも地中から噴出させ、エネルギーとしてあらゆる分野で使い始めます。大気中の二酸化炭素はどんどん増えていくのですが、海はこれまで以上に二酸化炭素を吸収して大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑えていました。温暖化による大気温度の上昇も、海が熱を吸収することである程度抑えていました。しかし、もはや限界がきています。

海がこれまで以上の二酸化炭素を吸収したことで海水の酸化が進みました。海水温もどんどん上がって大きな嵐を引き起こすようになっています。海と同じように二酸化炭素をたくさん吸収していた森は、乱伐によってその面積がどんどん狭まり、温暖化による干ばつや山火事でさらに減っていくという負のスパイラルに陥っています。地球の営みとして大気に出ていく二酸化炭素を、海と森が吸収して、大気中の二酸化炭素濃度を一定に保っていた。保てなくしたのは、人間の行動です。

IPCCによれば、1年間に大気中の排出される量は炭素換算で54億トン。海が吸収できる能力は19億トンで、森は2億トンだそうです。海や森が吸収しきれなくなった差し引き33億トンが、毎年積み重なったいくのです。


episode 14
そして、地球はCO2を吸収しきれなくなる。